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連載第15報:知って欲しい医療費格差とその特徴(入院外編)

2025.10.30|入院外医療費格差医療費の類型

 前回のコラム「連載第12報」では医療費の三要素を用いて,「知って欲しい医療費格差とその特徴(入院編)」を解説しました。今回は,入院外医療費(註1)に注目して,滋賀県19市町の地域差とその特徴をご紹介いたします。

 一般の読者の方はもちろんですが,入院医療費の特徴と同様に保健・医療・福祉関係者の皆様にも,是非,知って欲しい知識です。

Ⅰ. 入院外一人当たり診療費の地域格差

 図をみると一人当たり診療費(註2)は,野洲市,守山市,米原市,大津市,長浜市などが滋賀県全体よりも高くなっています。最も高い野洲市283,655円/年と最も低い多賀町204,842円/年とは7万9千円の1.38倍の格差があります。特に,年金受給者の方には居住地で大きな負担の格差となっています。

 この一人当たり診療費格差の要因を理解するために,医療費の三要素の視点からご説明いたします。(コラム連載第11報;参照)

Ⅱ. 入院外の市町別受診率と一件当たり診療費の散布図

 一人当たり診療費=受診率×一件当たり診療費の関係がありますから,一人当たり診療費が高かった野洲市,守山市,米原市,大津市,長浜市について,受診率と一件当たり診療費の散布図を示します。

 散布図から,19市町の一人当たり診療費の特徴が高受診率or高一件当たり診療費を示すA型からD型までに類型化できます。

 この類型によって,一人当たり診療費の高かった野洲市,守山市,米原市,大津市,長浜市の特徴がわかります。理由が分かれば対策に繋がります。

Ⅲ. 一件当たり日数と一日当たり診療費の散布図

 更に,一件当たり診療費=一件当たり日数×一日当たり診療費の関係がありますから,一件当たり診療費が高かった野洲市,米原市,大津市,長浜市,守山市(注)について散布図を示します。

(注; 守山市については,受診率が19市町中で最も高かったので,表記しました。)

 散布図から,19市町の一件当たり診療費の特徴が,高一件当たり日数or高一日当たり診療費を示すE型からD型までに類型化できます。

 この類型によって,一件当たり診療費の高かった野洲市,米原市,大津市,長浜市の特徴がわかります。

 以上,Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ.から市町別に後期高齢者医療費の散布図をみると「入院外診療費の市町格差とその特徴(類型)」がわかります。例えば,野洲市はA型 [高受診率・高一件当たり診療費]かつE型 [高一件当たり日数高一日当たり診療費] です。

 読者の皆様には,ご自身のお住いの地域の特徴を知っていただきたいと思います。

さいごに

 後期高齢者の一人当たり診療費には市町格差と特徴(類型)があります。また,受診率,一件当たり診療費,一日当たり診療費,一件当たり日数などにも市町格差とその特徴があることをお示ししました。

 具体的には,一人当たり診療費の高かった野洲市,米原市,長浜市などは,一件当たり診療費,一日当たり診療費ともに高額な地域でした。入院外医療費では薬局調剤医療費が大きく影響します。薬局調剤医療費の軽減のために,できるだけジェネリック医薬品の利用をお願いしたいと思います。(コラム連載第4報;参照)

 また,以前から患者の受診行動は,デパート感覚で大病院志向があると言われています。紹介状を持たずに200床以上の大病院を受診すると高額な選定療養費がかかります。

 読者の皆様には,体調不良を感じたら,先ず,身近な『かかりつけ医』を受診していただきたいと思います。医療機関においては,病状の安定した患者には,患者の同意を得て「病院から『かかりつけ医』に逆紹介」の努力が望まれます。

 一方,同じく一人当たり診療費の高かった野洲市,守山市,大津市は,高受診率,高一件当たり日数であることから,多受診(註3)や頻回受診(註4)などの「生活習慣病,老人病で悩める高齢者の受診行動である社会的通院(註5)が読み取れます。

 これらの結果は,高齢者に対する適正受診指導などの健康教育の必要性を示唆しています。

 いずれにせよ,読者皆様のお住いの地域の特徴を知った上で,ご自身やご家族とともに地域性に応じた質の高い日常生活を営んで疾病予防,重症化予防,介護予防に心がけて頂きたいと思います。入院外患者が重症化して「入院外患者が,入院患者の予備群になっている」現状を改善しなくてはなりません。

 かかりつけ医,疾病医療費,医療保険料などでご相談があれば,「医療と介護の相談窓口」においでください。専門の相談員がお待ちしています。

なお,次回のコラムでは「多受診,頻回受診などの社会的通院」について,ご紹介する予定です。

註1; 入院外診療費には,外来,往診,訪問看護,薬局調剤費が含まれる。
註2; 令和5年度滋賀県の後期高齢者医療年報,滋賀県後期高齢者医療広域連合
註3;  多受診とは,一か月間で複数の医療機関に受診する状況。
註4;  頻回受診とは,一か所の医療機関に頻回に受診する状況。
註5;  社会的通院とは,真に医療を必要としない多受診,頻回受診の意味。
注;イラストは,illust ACのフリーイラスト(KONI作)から引用

湖南メディカル・コンソーシアム 安西将也

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