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2026.01.20|咬む力歩行速度栄養
「咬む力」と歩行速度が関係していることをご存知でしょうか。

これまで、高齢者のお口の健康状態と運動機能低下の関連について多くの研究が行われてきました。地域の高齢者を対象とした大規模研究1)によると、「咬む力」が強い人は歩行速度が速く、逆に「咬む力」が弱い人はたんぱく質の摂取量が減り、歩行速度も遅くなることが分かっています。「咬む力」の低下がたんぱく質の摂取不足を招き、それが筋肉量や機能(歩行速度)の低下につながると考えられています。

また、同研究グループは「咬む力」と栄養に着目した研究結果2)を報告しています。「咬む力」が弱い人は野菜の摂取量が少なく、抗酸化ビタミンや食物繊維の摂取も少なくなる一方で、米や麺類などの穀類の摂取量は多くなる傾向があるそうです。興味深いことに、「歯の本数」よりも「咬む力」の方が食べ物や栄養素の摂取に影響することが明らかになっています。「咬む力」が弱いと、硬い野菜や肉類を避け、やわらかい穀類中心の食生活になると考えられています。つまり、「咬む力」は食品選択や栄養素摂取、ひいては運動機能に関係するということですね。

加齢とともに歯の数は減少しますが、歯を失った後でも適切な治療を受けている人は「咬む力」を維持できます。歯が残っている人は歯の本数を減らさないように、入れ歯を使用している人はしっかり咬めるよう、定期的に歯科医院でチェックを受けることが大切ですね。

1)Okada, T., et al. (2015). J Am Geriatr Soc, 63(11):2382-2387.
2)Inomata, C., et al. (2014). J Dent, 42 (5):556-564.
龍谷大学農学部・農学研究科 講師 矢野真友美
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