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COLUMN

お役立ちコラム

歯肉炎・う蝕は様々な疾患を招く (連載第18報)

2026.01.22|歯周疾患むし歯口腔ケア

 読者の皆様は,歯肉炎・う蝕(むし歯)が消化器系疾患に分類されていることをご存じでしょうか?

 令和5年の消化器系疾患患者は,2,120万人います。そのうち,歯肉炎及び歯周疾患が1,135万人,う蝕が約298万人もいます。(註1)

 今回のコラムでは全身疾患に関与する歯肉炎・う蝕(むし歯)についてご紹介致します。

死亡リスクを高める歯肉炎・歯周疾患,う蝕(むし歯)

 口腔内細菌は「感染性心内膜炎」「敗血症」「虚血性心疾患」「誤嚥性肺炎」などの全身疾患に関与して死亡リスクを高めることが徐々に明らかになってきています。(註2)

 また,「歯肉炎・歯周疾患」「う蝕(むし歯)」の放置は,自分の歯を減らしてQOLの低下の原因になります。

 そのため,予防医学・歯科分野では平成元年(1989年)から,80歳になっても自身の歯を20本以上に保つことを目標にした8020運動(ハチマルニマル運動)が推進されています。

 ①口腔感染症の予防,②全身感染症の予防,③QOLの向上が目標となっています。

口腔ケアの習慣は子供の頃から必要です

 

 令和6年の小学校,中学校,高等学校の歯科検診で3割前後の学童・生徒にう蝕がありました。未処置で放置されていることも少なくありません。(註1)

 「歯肉炎・歯周疾患」「う蝕(むし歯)」は,様々な疾患を招きますから,子供の頃から日常の口腔ケアと砂糖食品の節食が重要です。

 特に,園児,小学生,中学生には保護者の「うがい」,「歯ブラシ,デンタルフロスなどを用いた歯磨き」などの習慣づけの指導が必要です。

 「子供は親の鏡」と言われますが,家庭の健康意識が子供の口腔状態で予想できます。家庭内でのネグレクト(虐待の一種)の発見につながる場合があります。

義歯装着のすすめ

 歯肉炎で歯周の膨脹やう蝕などで残存歯が少なくなってくると,食べ物を「噛み切る」「すり潰す」ことが難しくなります。

 そのため,柔らかく高カロリー食品のみ摂取すると,その偏食が「糖尿病」「脂質異常症」などの発症につながることが知られています。

 残存歯が少なくなった方は,歯科医に相談したうえで義歯装着をお勧めします。

著者らの研究による義歯装着後の改善例
 63歳,男性,残存歯が2本しかない糖尿病(HbA1c 15.1%)患者さんに義歯を装着してもらって,生活習慣改善指導,食事指導した結果,一年半後に身体状態が劇的に改善した例があります。(HbA1c 15.1% からHbA1c 6.1%に改善)
 その患者さんは,忘れていた「食の楽しみ」を感じるようになったとおっしゃっていたことが印象的でした。

さいごに

口腔ケアは口腔内を清潔に保持して,歯や口腔の疾患予防と口腔機能を維持・増進させることが目的です。

  1. 口腔ケアは習慣化することが大切です。小さなお子様がいるご家庭は,できるだけお子様と一緒に口腔ケアをしてください。
  2. 歯垢(細菌の塊),歯石の除去など虫歯の予防,早期発見・治療のために歯科医院で定期的に専門的なケアを受けることも大切です。
  3. 高齢で残存歯の少ない方は義歯(入れ歯)を装着して,しっかり噛んでお食事をして頂きたいと思います。低栄養予防,フレイル予防,介護予防にも繋がります。

 口腔ケア等でご相談がある方は,湖南メディカル・コンソーシアムが運営している「医療と介護の相談窓口」(無料)にお越しください。

註1; 国民衛生の動向2025/2026,厚生労働統計協会
註2; 健康長寿ネット;公益財団法人長寿科学振興財団
注; イラストは,illustACのフリーイラスト(もじゃもじゃ作)から引用

湖南メディカルコンソーシアム 安西将也

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