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COLUMN

お役立ちコラム

介護現場での急変対応①

2025.09.11|急変対応

湖南広域消防局救命救急課

 介護施設、訪問先のお宅にかかわらず、高齢者の健康状態は急変するリスクが高く潜在しています。介護現場での予期せぬ事態に対し介護職員と救急(消防)隊がうまく連携し、利用者の急変に対応することができるよう消防職員の目線から、色々な備えについてご紹介したいと思います。

湖南広域消防局管内の救急出動状況
 令和6年中の救急出動件数は16,996件で過去最高の出動件数となりました。
 1日あたりの救急出動件数は、約46件でおおむね31分に1回の割合で救急車が出動しています。救急出動の約65.2%(10,551件)は入院の必要がない軽症で、緊急の搬送が必要な場面に支障が生じる恐れが拡大しており、救急車の適正な利用が求められています。
 高齢者からの救急要請は全体の59.0%を占め、その73.2%は急病によるもの、次いで18.6%が転倒や打撲などのけがによるものとなっています。高齢化が進展するなか、高齢者からの救急要請は増大する見込みとなっています。
 ※令和7年中の救急出動件数も8月末時点で昨年度を上回り、過去最高の出動件数を更新する見込みとなっています。
令和6年中 年齢区分別搬送割合
令和6年中 高齢者の事故分類別搬送割合
令和6年中 高齢者の傷病程度別搬送割合

急変の兆候に気づけますか

 高齢者は体調の変化を自覚しにくいため、介護職員が日頃から観察を行い、異変に気づくことが重要です。次のような視点で、普段から様子を見守り、急変の可能性を考慮し、適切に対応できるようにしましょう。

  • 呼びかけに普段どおりの反応か、ぼんやりしていないか(意識状態の悪化)
  • 浅い呼吸、息苦しそうな様子(呼吸の異常)
  • 青白い、赤みが強い(顔色の変化)
  • 冷や汗をかいている、暑いのに汗をかいていない(異常な発汗、脱水)
  • 胸痛、頭痛、腹痛などを訴える(突然の痛み、胸が詰まる、頭が重いなど・・。『痛い!』と表現しない場合も)

様子がおかしいと感じたら

 利用者の突然の様子の変化や普段と違うように感じたら、慌てずに次のように行動できるよう確認しておきましょう。

  • 応援(協力者)を呼ぶ
    介護職員同士で連携し、必要に応じて救急車(119番)を要請します。訪問先でもあらかじめ相談できる連絡先を確保しておくとよいでしょう。
  • 救急車が必要か判断に迷ったら
    主治医等へ連絡し指示を仰ぐ、滋賀の救急電話相談(#7119 令和7年10月1日開設)を利用するなどあらかじめ対応の手順を確認しておきましょう。
  • 意識、呼吸、脈拍を確認する
    普段とどのような感じで違った様子なのかを確認し、直ちに必要な応急手当を実施しましょう。
  • 応急手当の実施
    ・意識がない場合:気道確保を行い、普段と変わらない呼吸をしているか確認しましょう。必要に応じて心肺蘇生(CPR)を開始します。
    ・誤嚥による窒息:咳を促す、背部叩打法やハイムリック法を実施しましょう。
    ・転倒による外傷:出血がある場合は止血し、骨折が疑われる場合は動かさず安静にするようにしましょう。
  • 救急隊への情報提供
    救急車が来るまでに、保険証(マイナンバーカード)診察券お薬(お薬手帳)を用意しておいてください。また、駆けつけた救急隊には以下のことを伝えましょう。
▽利用者の体調が悪くなってから、救急隊が到着するまでの様子やその変化、行った応急手当
▽利用者の持病
▽かかりつけの病院やクリニック
▽普段飲んでいる薬
▽医師の指示
▽利用者のご家族の情報、緊急連絡先

救急情報提供シートをご活用いただき、情報の共有にご協力ください。

救急対応手順フロー

救急情報提供シート

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