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COLUMN

お役立ちコラム

骨を強くするお薬を使っている人は歯医者さんに行きましょう!(薬剤関連顎骨壊死)

2025.08.06|薬剤性顎骨壊死口腔ケア

 近年、骨粗鬆症の治療のため、『骨を強くする薬』を使っている方が増えています。骨粗鬆症こつそしょうしょうとは、骨がスカスカになり、もろくなる状態です。その結果、転倒やちょっとした衝撃で骨折しやすくなり、特に高齢者の場合、寝たきりや介護が必要になるリスクが高まります。そのため、骨を強くしたり、骨が壊されるのをおさえるために、いわゆる『骨を強くする薬』が使用されます。この薬は骨の代謝を調節して骨の密度を増やす目的で使われますが、その副作用として薬剤性顎骨壊死やくざいせいがくこつえしあごの骨が死んでしまう)がおこることがあります。

薬剤性顎骨壊死やくざいせいがくこつえしとは・・・

薬により顎の骨の組織や細胞が死んでしまうことです。

発生機序

  • 破骨細胞の機能が阻害される
  • 血管新生が抑制される
  • 顎の骨は咀嚼により微小な骨折が蓄積する
  • 抜歯などの外科的な治療
  • 歯周病などの感染

どうしてあごの骨だけに起こるの?

  • 粘膜を貫通して歯が生えているため、歯周組織を経由して口の中の細菌が骨に届きやすい
  • 口腔粘膜は薄いため咀嚼などにより粘膜が傷つき感染が顎の骨に届きやすい
  • 抜歯などの外科的な歯科治療により骨が直接口の中に露出して感染を受けやすい
    などが挙げられます。

どうしたら顎骨壊死は防げるの?

歯科受診により口腔内衛生状態を改善し、口腔清掃の重要性を知っていただくことが大切です。
薬の投与を予定している場合、全ての歯科治療は投与開始の2週間前までに終えておくのが望ましいですが、がん治療で薬の使用を遅らせることができない場合や骨折のリスクが高い骨粗鬆症では薬の使用と歯科治療を並行して進めることもやむを得ません。お口の中を清潔にすることが大切です。

  • 定期的に歯医者さんに通院し、口腔ケアをしてもらいましょう。
  • 抜歯などの処置で顎骨壊死が誘発されることもありますので歯医者さんで治療を受けるときには、『骨を強くする薬を使っています』と必ずお知らせしてください。

ということで・・・

『骨を強くする』お薬を使っている人は歯医者さんに行きましょう!

昭和医科大学 口唇口蓋裂センター 准教授 秋月文子

      

     

    

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