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セロトニンが脳機能の低下に関係

2025.06.19|セロトニントリプトファンメラトニン

 セロトニンとは?

 脳の「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンが、加齢に伴う脳機能の低下に関係している可能性のあることが、米ジョンズ・ホプキンス大学精神医学・行動科学教授のGwenn Smith氏らの研究によって明らかになっています(JAD, 2023)。セロトニンとは、脳内に分泌される神経伝達物質のことです。セロトニンは睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の材料でもあるため、睡眠の質の向上にも関与しています。そのため、セロトニンの量が不足すると、不安やうつ、不眠、食欲の低下などを引き起こす場合があります。

セロトニンを増やす食べ物

 それでは、セロトニンを体内で十分に生成するためには、どうしたら良いのでしょうか。第一に、原材料となる「トリプトファン」の摂取が重要です。トリプトファンは人間の体内では生成できないアミノ酸(必須アミノ酸)で、バナナ、プロセスチーズ、豆乳、アーモンド、赤身肉、玄米、ソバなどに多く含まれています。さらに、セロトニンの生成にはトリプトファンに加えてビタミンや鉄分も必要です。ビタミンや鉄分が豊富な野菜や果物、肉類もしっかり取り入れましょう。また、咀嚼もリズム運動なので、食事の際は急いで食べるのではなく意識して噛むことが大切です。

セロトニンを増やす運動

 第二に、セロトニンを増やすはたらきは食事だけでなく、運動も期待されます。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、ヨガなど長時間の運動や激しい運動をする必要はないので、天気のよい日に散歩したり普段より多めに歩いたりしてみましょう。

セロトニンを増やす習慣

 第三は、朝に日光を浴びることや、生活リズムを整えるといった生活習慣の工夫も効果的です。朝に日光を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が止まり、セロトニンの分泌が活性化されます。睡眠ホルモンのメラトニンは、日光を浴びてから14~16時間後に分泌されるため、朝の時間に日光を浴びることで夜の寝つきもよくなる効果が期待できます。高齢者は光の同調効果が弱いので、明暗がしっかり変化する環境で生活をすることも重要です。

龍谷大学農学部 教授 上田由喜子

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