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連載第7報:生活習慣病に強く関わる7つの生活悪習慣

2025.05.13|保険者協議会生活悪習慣疾病リスク

 特定健康診査は、医療保険者が保健指導を必要とする者を抽出するための健康診査です。被保険者、被扶養者の生活習慣病を予防する目的で実施されています。

 そのため、健診時に日常生活習慣に関わる「標準的な質問票」、身体計測、血圧測定、理学的検査、尿検査、血液検査などを実施しています。

 この「標準的な質問票」には、脳卒中、心臓病、慢性腎臓病などの受診の有無、血糖、コレステロールを下げる服薬の有無、生活習慣状況などの22の質問項目があります。

 今回は、滋賀県保険者協議会(註1)がこれらの数値を用いて作成した報告書(参考資料)の一部を改変してご紹介いたします。

主な生活悪習慣と疾病の関係

 滋賀県の国保、被用者保険および後期高齢者医療の健診成績の中から、「主な有所見(生活習慣病)」をA.メタボリックシンドローム、B.肥満、C.高血圧症、D.糖尿病、E.脂質異常症としました。

 また、それらの疾病リスクと考えられる以下の7つの生活悪習慣(註2)を選びました。

 これら①から⑦の生活悪習慣は、すべてがAからEのそれぞれの疾病リスクになりますが、統計分析の結果、特に関連が強い生活悪習慣を付記しました。

生活悪習慣と生活習慣病

資料;令和元年度健診等データ分析結果報告書(追加分析資料を改変),滋賀県保険者協議会,オッズ比 P<0.05=

注意;   表下段のオッズ比は、生活悪習慣と生活習慣病との関連を分析するために用いた統計手法です。原資料ではで示している箇所は、数値データとなっています。

 表をみると、男性では、「③ 20歳時の体重から10㎏以上の増加」、「⑤食事速度が速い」がAからEのすべての生活習慣病に強い関わりがあることを示していました。

 皆様もよくご存じでしょうが、食習慣は生活習慣病に直結しますので、お仕事でお忙しい中にあっても[一口を少量にして、時間をかけてよく噛むこと]に努めてください。

 また、男性のみに「②習慣的に飲酒」がA.メタボリックシンドロームとC.高血圧症に強い関わりがありました。[一日に日本酒3合以上の多量飲酒を控えること、毎日飲酒している方は、週2日は、休肝日]になるように努力してください。

  参考
日本酒1合(180ml)は、ビール中瓶500ml、25度焼酎110ml、ウイスキーダブル1杯60ml、ワイン2杯240mlに相当します。  

 一方、女性のみの特徴は見当たりませんでしたが、興味深い結果は男女ともに「③ 20歳時の体重から10㎏以上の増加」がAからEまでのすべての生活習慣病と強く関わっていたことです。

 男女ともに、自らの標準体重(あるいは適正体重)知っており、毎日の体重チェックが生活習慣病予防の基本習慣であることを示唆していました。(標準体重=身長(m)×身長(m)×22)

 読者の皆様には、是非、①から⑦の生活悪習慣を改善して、疾病予防につながる質の高い日常生活を営んでくださることを期待します。

試みとして用いた7つの生活悪習慣

  1. 習慣的に喫煙
  2. 習慣的に飲酒
  3. 20歳時の体重から10㎏以上の増加
  4. 30分以上の運動を週2回以上、1年以上していない
  5. 食事速度が速い
  6. 就寝前2時間以内の夕食が週3回以上
  7. 夕食後間食が週3回以上

さいごに

 現在、わが国ではがん、心臓病や糖尿病などの生活習慣病が増加しています。ストレス、過食、運動不足、多量飲酒、喫煙など好ましくない日常生活を何年も続けていると40歳以上になって生活習慣病になる確率が急激に増加することが知られています。

 今回のコラムでは、滋賀県の国保、被用者保険および後期高齢者医療の健診受診者の「それぞれの疾病に強く関わる生活悪習慣」をお示ししました。

 ただ、市町国保については、市町の風土・風習・文化によって、「それぞれの疾病に強く関わる生活悪習慣」が異なることに注意してください。地域格差があります。

 また、被用者保険の医療保険者によっても、「それぞれの疾病に強く関わる生活悪習慣」は異なります。医療保険者格差があります。

 是非、滋賀県保険者協議会がHP上で発表している報告書をご覧になって、お住いの市町やご自身が加入している医療保険者の健康実態を把握してください。読者の皆様が「健康意識の変容」→「行動変容」につなげてくださることを期待します。

 生活習慣の見直しは、先ずは、自らの標準体重を知ること、毎日の体重チェックから始めてください。

 なお、日常生活等でお困りの方は、湖南メディカル・コンソーシアムが運営している「医療と介護の相談窓口」(無料)においでください。

謝辞; コラム掲載について数値表使用の許可をいただきました滋賀県保険者協議会様に深謝いたします。

註1; 滋賀県保険者協議会は、19市町国保、医師国保、協会けんぽ、9健保組合、4共済組合、後期高齢者医療からなる協議体です。住民や加入者の健康増進と医療費適正化などについて協議する組織です。毎年、「健診等データ分析事業」と「医療費分析事業」等を実施して各医療保険者の分析結果をHP上にアップしています。

註2; 「標準的な質問票」にある生活習慣病の疾病リスクは、①から⑦の7つだけではありません。他にも「朝食を抜くことが週3回以上ある」「間食や甘い飲み物を毎日摂取している」などがあります。

参考資料;「令和元年度健診等データ分析結果報告書」の追加分析【保険者別健診結果に影響を与える生活習慣分析報告書】、滋賀県保険者協議会

湖南メディカル・コンソーシアム 安西将也

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