COLUMN
お役立ちコラム
2026.05.08|肥満便通ストレス
便秘(一般的に週に3回未満の便通頻度)が、腹痛、腹部膨満感(お腹の張り)、吐き気、食欲低下などにつながることや、循環器疾患(心臓病や脳血管疾患)のリスクを高めることが報告されています。便秘を予防するためには、身体を動かして腸の動きを良くすることや、食物繊維を含む野菜を食べて便通を促すことが大切です。また朝食を抜くと、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう:食べ物を運ぶための消化管の動き)が低下して、便秘のリスクが高まると考えられています。
一方で、今まで便通の頻度と健康との関連については、便秘に関する調査がほとんどであり、便通頻度の多さが、どのような健康指標や生活習慣と関係しているのかはよく分かっていません。そこで私たちの研究グループは、京都市内の病院で人間ドックを受診した30~79歳の成人男女11,595名(男性6,142名、女性5,453名)を対象として、便通が多いと身体に良いのだろうか?という疑問について横断研究(ある1時点におけるデータ収集・解析)を行いました。

統計解析の結果、便通の頻度が中程度(便通が1日1~2回もしくは2日毎)の人々と比べて、便通の頻度が多い人々(便通が1日3回以上)では、男女ともにBody Mass Index(BMI;肥満度の判定に用いられる体格指数)、血中脂質(トリグリセリド)、および肝機能値(AST、ALT、γ-GTP)が高い値を示すことが分かりました(図1)。BMIの高値は肥満、トリグリセリドの高値は脂質異常症、肝機能値の高値は脂肪性肝疾患と関連していることから、便通の頻度が多い人々において、肥満や、肥満に関連する生活習慣病のリスクが高まっている可能性が考えられました。
またアンケート結果を用いて、生活習慣や心身の状況と、便通頻度との関連性を調べたところ(図2)、便通の頻度が中程度の男性と比べて、便通の頻度が多い男性では、「生活習慣病のリスクを高める飲酒量(1日あたり純アルコール摂取量40 g以上;ビール換算で1リットル以上)」を超える飲酒者の割合が高くなっていました。また男女に共通した傾向として、便通の頻度が多い人々では、ストレスが「かなりたまっている」と回答する割合が高くなっていました。これらの結果から、「お酒の飲み過ぎ」と「過剰なストレス」による心身の不調が、便通頻度の多さにつながっている可能性が考えられました。
「近ごろ便通が増えてきたな」と感じたら、食べすぎ・飲みすぎ・ストレス過多など、心身への負担が大きくなっているのかもしれません。ご自身の身体からのメッセージを受け取って、健康な心身を保つために生活習慣を見直すと良いのではないでしょうか。


出典:Dietary Characteristics Associated With High Defecation Frequency and Constipation in Japanese Adults: A Cross-Sectional Study. Taniguchi H et al. JGH Open. 2026 Jan 9;10(1):e70334.
龍谷大学 農学部 食品栄養学科 谷口祐一
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