アイコン

COLUMN

お役立ちコラム

施設紹介vol.5「淡海ふれあい病院、訪問診療部」

2023.04.13|施設紹介病院

淡海ふれあい病院、訪問診療部

 皆さんは「いのちの停車場」という小説をご存知でしょうか。作者は医師でもある南杏子さんで、彼女は医療に関する小説を数多く執筆されています。この小説は既に映画化されており、主演は吉永小百合さんで主役である女医の白石咲和子を演じておられました。ご覧になられた方もおられると思います。この映画は訪問診療がテーマとなっています。人生最後の時間をどのように生きるか、納得できる死の迎え方とは何なのかなど、訪問診療を通して死と向き合った患者さんとの交流と別れ、そして父の死にも巡り合う場面が緊張感や臨場感に溢れながら感動的に展開されていました。

訪問診療とは

 さて、訪問診療とはいつごろから始まったのでしょうか。一般の方には往診と呼ぶ方がなじみ深いかと思います。以前から、在宅における医療の提供は、患者さんが急に悪くなり、医療機関を受診することが困難な場合に限られていました。臨時に医師が自宅を訪問し診療する場合が往診であったのです。1986年に初めて訪問診療の概念が導入されました。同時に指導管理料の算定が可能になるとともに、1992年の医療法改定で在宅が医療提供の場として法制度上正式に認められました。このように訪問診療の歴史は短く、スタートして40年も経っていないのです。訪問診療とは、通院が困難で自宅での療養を希望する患者さんのために定期的に訪問して診療を行うことと定義できます。外来通院、入院治療と並ぶ第3に医療提供体制として、これから急速な需要の高まりが予想されています。そして、1997年に行われた介護保険法の制定は、国が本格的に在宅療養を推進に舵を切った転換点と言われています。

訪問診療の役割

 日本は少子高齢化が進み超高齢社会に突入しています。65歳以上の高齢者の割合は29.1%(2022年9月、総務省統計局、人口推計)、2040年には35.3%(令和2年厚生労働白書)に達すると推定されています。高齢者は身体機能や認知機能の低下により、医療機関への通院が徐々に難しくなってきます。老人独居や老人夫婦のみの家庭も増えており、草津市を見ても高齢者世帯の6割以上が老人のみで生活を送っている現実もあります。病院に行くにも通院の足の確保が益々難しくなっているのです。誠光会では病院から地域を回り患者さんを病院まで送り届ける病院バスが運行されていますが、大変好評でルートの拡大を望む声も多いと聞いています。やはり高齢者にとって通院は大きなハードルになっていることに間違いありません。患者さんが病院を受診できないのであれば医者や看護師が動けばいい、動ける人が患者さんの家に訪問すればいいのでは、これが訪問診療の原点であると考えます。

地域における訪問診療の現状

 最近公表された厚労省のデータによると、訪問診療を担う在宅療養支援診療所や在宅療養支援病院の数、訪問件数、さらには在宅で24時間対応する訪問看護師の数は確実に増えています。草津市の在宅療養支援病院は当院を含め3病院、訪問看護ステーションは10を超え、医師会の先生方も積極的に訪問診療や在宅医療に協力いただいています。草津市と医師会、病院とが参画している在宅ネット草津は在宅医療介護総合支援センターが中心となって運営されており、これからの発展が期待されている事業の一つとなっています。2024年からスタートする第8次医療計画でも在宅医療が重要な柱となっており、国にとっても今後の人口動態と医療ニーズを見据えた重要な施策となっています。

淡海ふれあい病院が展開する訪問診療

 淡海ふれあい病院では2021年2月から訪問診療を開始しました。退院される患者さんの内、通院が困難と思われる患者さんに声掛けさせていただき、ご本人とご家族の了解の上、文書にて契約を交わしてスタートしました。私たちの訪問診療のコンセプトは、ご自宅で安心して健やかに生活を送っていただきことです。このコンセプトを達成するために必要な医療や看護をチームで提供するとともに、病状が悪化した場合は速やかに外来受診や入院をお願いしています。患者さんは訪問診療以外に各種サービスを受けておられます。訪問看護、訪問介護、訪問入浴などです。これらのサービスはケアマネージャーさんが患者さんやご家族さんと一緒になりサービスの内容をケアプランとして作成されています。私たちもこの内容や指示に沿って情報を共有しながら切れ目のない医療提供を行っています。
自宅訪問は医師1名と看護師1名がペアとなり行います。原則、月に2回の訪問で問診、診察、処方箋交付、運動・栄養・服薬などの指導、さらに血液検査などを行います。訪問時間はおよそ10~20分で、特別な準備などは必要ありません。訪問させていただくエリアは草津市と一部大津市に限定しています。また、地域の開業医の先生方と協力し、住所や疾患、重症度などに配慮しながら活動するようにしています。私たちが行う訪問診療は、①病院の人や施設などの医療資源を有効に利用しながらチームとして活動できる、②急変時には後方支援として緊急受診や緊急入院に対応できることが特徴です。病院併設型訪問診療の最大の特徴を生かしながら、安心、安全な医療が提供できるようさらに発展させていきたいと考えています。

訪問診療についての相談

 訪問診療は病院においても地域においても広く知られているわけではありません。しかし、ある時から急に病院に通えなくなることも想定しなければなりません。最近は訪問診療を行う開業医の先生方も増え、訪問診療を調整する草津市在宅医療介護連携センターなども設置されています。訪問診療の受け皿は確実に増えています。高齢者医療が大きな役割である淡海ふれあい病院も訪問診療の一翼を担いながら、その役割を果たそうと考えています。当院の窓口はつなぐステーション(地域連携、入退院支援、患者相談)で、C棟一階の受付にあります。担当者は経験ある看護師や相談員が対応します。パンフレットも置いていますので是非参考にしてください。

淡海ふれあい病院

〒525-8585 滋賀県草津市矢橋町1629-5
TEL 077-516-2121(代)
ホームページはこちら

一覧

PAGE
TOP