COLUMN
お役立ちコラム
2022.03.30|介護保険
相談支援の場で、介護保険の話をすると、「まだ歩けるから…」や「まだ施設はちょっと…」と敬遠される方が時々おられます。たしかに重度の障害のため起き上がることが困難になったり、お一人暮らしで施設での生活を検討されるようになった場合には、介護保険を利用することとなりますが、介護保険は重度障害の方だけが利用するものではなく、その状態にいたらないように利用することが可能です。
※施設サービスは(特養、老健、介護療養型)に入所するサービスです。居宅系サービスは介護保険上、自宅として認められている施設(施設サービス以外のグループホーム やショートも含めた)に入所するサービスです。これとは別に「医療系サービス」「福祉系サービス」という概念による分類もあります暮らす場所
私は、介護保険を考える時に、上の表のように、体の状態・暮らす場所を目安に考えます。
多くの人は、加齢やケガ・病気が原因で、自分の力で暮らせなくなった場合に、要介護サービスや施設サービスを想定し“介護保険”を思い浮かべられます。しかし介護保険はそのような状態にならないように、利用することも可能です。
国の高齢者白書(平成30年度)によると12.5%の方が骨折や転倒で介護が必要な状態になっておられます。様々な方がおられるとは思いますが、段差の解消・手すりなどの居住環境の見直しがあれば骨折や転倒を防げた方も多いでしょう。同時に、体が動きにくくなり出かける先を縮小したり、今までしていた活動を止めてしまったりしているのではないでしょうか?
「手すりに頼らない」との思いや実践を否定する気はないですが、転ばぬ先の杖と同様、段差の解消や手すりの設置など居住環境を整えることは、現在の暮らしを安定的に継続するには非常に重要な事柄です。また、現在の活動を継続させるためにも移動のしやすさを確保し、身近な不安を取り除くことは気分的にも豊かになるでしょう。
ただし、多額の費用を負担しバリヤフリーと称するリフォームを行い大変革を行うのではなく、時々の身体状態に応じた小さな改修が功を奏します。
代表的なのは道路から玄関までのアプローチ、靴を脱ぎ履きする玄関や縁側・勝手口、大きな段差、二階への階段、トイレ・浴室などの水回りを見直されてはいかがでしょう。大切なのは「危ないから」と行動を制限するのではなく、今行っている行動を安定的にすることが大事です。特にふらついた経験のある場所は早々に見直すことが必要です。
介護保険では、専門的な知識を持った福祉用具専門相談員などのアドバイスを受けながら居住環境の整備を行うことが可能となります。
年齢とともに体の調子を伺いながら暮らす必要がでてきます。ケガや事故を恐れ動かなければますます活力はなくなります。介護保険を利用しなくても地域での“いきいき百歳体操”などへの参加は非常に効果的で活動の範囲と量以上のものが確保できますが、痛みがある方や医師から注意が必要と言われている方にはリスクが伴います。
介護保険では、専門職の助言・提案を受けながら身体状態に見合った運動や活動を行うことが可能になります。
私達は、必ず年齢を重ね、少しずつ身体状態が変化していきます。決して諦めてしまうのではなく、悪くならないように専門職を利用し、ご自身が思い描く暮らしの継続を目指したいものです。
現在お住まいの地域を担当される“地域包括支援センター”や病院などにいるソーシャルワーカーなどにご相談いただき、ご自宅の様子、最近の体の調子なども相談されてはいかがでしょうか?
日々の暮らしの不安を少しでも減らし、安心して豊かに暮らすためにも一度専門職と一緒に見直されてはいかがでしょう?
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